歯の再生医療
皆さんこんにちは。院長の太田です。
明日は秋分の日、「昼と夜の長さが同じ日」だそうです。
めっきり秋っぽくなり、朝夜の気温も下がってきました。夏の疲れも出やすい時期です。
体調管理に留意してください。
さて、近年「再生医療」が注目を集めており、「iPS細胞」や「ES細胞」といった言葉を見たり、聞いたりする機会も多くなっています。
最近では神戸の理化学研究所で眼の網膜に「iPS細胞」由来の細胞を移植したという、世界初のiPS細胞の臨床応用が始まっていますが、
我々歯科医の領域ではどのように「再生医療」の分野が進んでいるのでしょうか?
まず、「iPS細胞と歯科医療」です。
最初、iPS細胞は皮膚の細胞から作製されたのですが効率は悪く0.2%以下だったそうです。
そこで最近の研究では抜歯をした親知らずの歯髄(神経)や歯肉の細胞からiPS細胞が効率よく作製できることが明らかとなっています。
今後「iPS細胞に必要な細胞は歯科医院で採取する」といった時代が来るかもしれませんね。
また、歯科における再生治療では、う蝕(虫歯)と歯周病の治療での臨床研究が進んでいます。(iPS細胞とは違う細胞を使用)
一つは東京女子医科大学が行っている歯周組織の再生治療で、もう一つは国立長寿医療研究センターが行っている歯髄(歯の神経)再生療法です。
それぞれが厚生労働大臣の承認のもとにすでに数年の臨床研究を行っています。
うまくいけば、数十年後には虫歯で歯の神経を処置しても神経を再生させたり、
歯周病で失った骨や歯肉を再生できたり、さらには失った歯を再生できる。
といった治療が一般的になる・・・そんな時代が来るかもしれません。
今後の再生医療の益々の発展を期待します。
参考文献:日本歯科医師会雑誌 Vol.67 No.6 2014-9
バイオ再生医療の現状と展開~安全な歯科医療を再考する~ 中原貴